南半球まで出張

先週は海外出張だった。現地での仕事も終わり、空港へ向かうタクシーの中で、異国の夕日を見ながらしみじみと、「遠くに来ちゃったな。」と思った。

子供の頃は田舎から出たくてしょうがなかった。国鉄の線路、そこを走り去る特急を見ながら、いつかはここを出ていくんだ、と思ってた。

社会人になり、転職もして、いつしか新幹線に乗ることも日常になった。そしてまさか海外まで出ていくことになるとは、あの子供の頃には想像だにしない世界が待っていた。

タクシーの中で、違う人生もあっただろうな、と夢想する。地元から出ず、地元で幸せに暮らす人生。

そしていつも思い出すのが、あの失踪しようとしていた日。もし、あの時に失踪していたら、どんな人生が待っていたのだろうか。家族も仕事も捨てて、消えようと思っていたあの日。そこからでも幸せに辿り着いていたのか、もしくはこの世にはいなくなっていたのか。