Transform / Howard Jones

2015年にクラウドファンディングで発表した「Engage」以来のアルバムなので約4年ぶりのニューアルバム。聴いた感じではルパート・ハインがプロデュースした1st, 2ndアルバムの雰囲気が少しだけあって、何だかどこか懐かしい雰囲気があった。

Howard Jonesは高校時代に2ndアルバム「Dream Into Action」を聴いて以来のファンなので実に30年以上聴いてる。俺の人生はhowardの曲に彩られた人生と言っても過言ではない。

とは言うものの、実際には名盤と自信を持って俺が言えるのは2nd「Dream Into Action」、4th「Cross That Line」、7th「Angels &Lovers」の3枚だ。8th以降のアルバムは、確かにHowardの類まれなるソングライティングの実力は発揮されているのだけれど、上記3枚の名盤にある「Howardの構築する心地よい独自の世界」をあまり感じることも無く、購入後、数か月で聴かなくなってしまっていた。(名盤と紹介した上記3枚は数年にわたる聞き込みに耐えるクオリティだった)

で、今回のアルバムだが、先ほど書いた「心地よい独自の世界」を強烈に持った一曲がある。6曲目の「Tin Man Song」だ。Youtubeに曲が上がってないので紹介できないのが大変残念。

2nd収録の「Is There a Difference?」、6thアルバム「Working in the Backroom」収録の「Left No Evidence」、B面コレクションに収録された「You Say」、そして発売から20年以上経過した今でも聴いている7th収録の「Back In Your Life」に共通する、心地よい小部屋にいるようなHowardオリジナルの替えの効かない世界が展開される。この「Tin Man Song」を聴いて、そうだ、そうだよ!Howardの曲はこういう世界だった!と物凄く腑に落ちるとともに、このミディアムリズムが俺の心と凄くフィットするんだ!と感動した。

ちなみにTin Manと言うのはなじみのない言葉なので調べた見たら、オズの魔法使いに出てくるブリキのきこりのことだそうだ。以下のサイトで詳しい説明が載ってた。

ブリキの木こりは、元々は人間でした。(もうこの段階で、かなりビックリしたのを覚えています)

悪い魔女に呪いをかけられた木こりは、木を切る仕事をする度に、斧のコントロールを失って、自ら自分の身体を傷つける羽目になります。手や足という、身体パーツを次々と失い、その度に木こりは、失ったパーツをブリキ製のパーツに取り替えていきます。

ハードなSF等でもテーマとして扱われるような、深遠な課題です。「機械と人間の境目はどこにあるのか?」問題です。
この物語は、そんな問題知ったこっちゃないと言わんばかりに、ブリキ男の実質的な「死」については一切触れずに、「こうして無事なのは胴体だけとなりました」と、強引に押し通してしまいます。

上記リンクからの引用3点だけど、これを読むと2ndに収録された曲「Automaton」を彷彿とさせる。何かこういうのもファンとしては嬉しいね。

7月末~8月頭にかけてビルボードでライブを予定しているけど、このTin Man Songを聴くためだけに足を運んでもいいかなと思ってる。