映画「658km、陽子の旅」を観てきた

現時点で今年No.1の映画。一言で言うなら菊池凛子の演技で9割出来ている映画。

もう冒頭の主人公が甥と話すシーンで引き込まれた。しばらく人と話をしていないことが分かるたどたどしい主人公の話しぶり。そういえば人と長らく話してないとそういう話し方になるよな、と思い出した。前半はそういう主人公の空気読まなさが画面から滲み出してくる。そして途中出てくるゲスなジャーナリスト。相手に選択肢を与えたと責めるところがまた卑怯な小者が滲み出てて素晴らしかった。

そして最後の結果と終わらせるタイミングも文句なしだった。適度な余白を持った終わり方。

ストーリーは亡くなった父親の出棺に間に合うかどうか、途中ヒッチハイクを行いながら北へ向かう主人公のロードムービー。主人公はもう一度生きることを否応なしに実感されられていく。

俺もコロナに罹患し、母親の葬式に出られなかったので気持ちとしては分かるところがあった。この映画を観終わって、結局父親と真の意味でお別れができたのはこの主人公ではなかったかと感じた。それは映画が終わってから俺が感じたのだけれど、最終的には辻褄として合っているような気がして、そう感じさせられたところも含めてこの映画スゲーわ、と思った。

とにかく菊地凛子の演技力が本当に凄いので、是非映画館で観て欲しい。