鈍行列車に揺られながら3時間、温泉へ行ってきた。本当に鄙びた温泉で、近隣に食事も買い物もするところが無いので夕食やらおやつやら酒やら持ち込みで行った。途中、有名な温泉駅で通ったのだが、おばさま方がおしゃべりしながら大きなカバン持って降りて行った。きっとお洒落な大きな温泉宿でも行くんだろうな。
俺は大好きな宿の条件は部屋数は10部屋に満たず、風呂・トイレ共同。個人経営で、昭和の香りが残る宿。温泉はこじんまりした内湯が一つだけ。そういう宿が気に入ってる。しんとした和室で独り横になっていると何とも言えない幸せを感じる。誰も俺の居場所を知らない、隠れ家に来たような気になる。そして気が向けば、温泉に入り、ゆったり。部屋に帰って酒を飲んでゆったり。今回の宿は窓の外を川が流れていて、川の流れる音だけが聞こえる。
翌朝も早起きをして朝風呂に入り、共同の水場で歯を磨く。そして時間になれば食堂に行って朝ご飯を食べる。列車の到着時刻が近づいてきて、チェックアウトをして駅まで向かう。この駅がまた無人駅で線路の上りも下りもすぐに山の中へと消えていく。こうやって不便な場所まで時間をかけてくること自体が、俺に取っては必要な儀式、娯楽。