明けましておめでとうございます。と言っても何かが変わったわけでもなく、去年から地続きの人生が続いているのだけれど。
去年からのもやもやが何となくわかってきた。何者かになりたいと言う欲望と、何者にもなれないと言う現実。その狭間でもがいている。書くと単純な話だ。
俺の生きていた人生は貴重なものだと思いたい。俺の得た人間関係や経験は他人のものと比べても価値があるはず。それを他人にも認めてもらいたい。だけど現実が突きつけるのは、お前の人生はその辺を歩いているオッサンと同等か、むしろそれ以下だ。隣にいるオッサンは俺より慕われていて、金を稼いでいて、充実している。
若い時代はそれでも将来はもっと良くなると思い込むことが出来た。違う世界、違う人間関係の中ではきっと俺はもっと価値がある。若者特有の万能感を持ちえた。
しかしその万能感すら若気の至りであり、これから進んでいく人生には不要なものであると判ってくる。
こうやって文章で書くと、なんてどうでも良い悩みだと思う。でも俺は我慢できない。これから失っていくばかりの人生なのかと。何も得られず、誰からも尊敬、いや関心も持たれる人生が訪れる可能性は無いのか。
オッサンが年を取るにつれ、正常な人生から脱落していくのがよくわかる。みんな何かに酔っ払い、依存しないとやっていけないのだ。持っていたものが徐々に無くなっていく。持っていたと勘違いしていたものはやはり勘違いでしかなかった。そんな現実は維持することすらつらい。
年末にもう一本だけ映画を見に行った。男はつらいよ、お帰りとらさん。その中で寅さんが言ってた。
顔で笑って心で泣いてってよ、そこが 渡世人のつれぇところよ
続・男はつらいよ
何というかな。ああ生まれてきて良かった、そう思うことが何べんかあるだろう。そのために生きてんじゃねえか。
男はつらいよ 寅次郎物語
昭和の映画に出てくる男は今見ても大人だな。昭和に生まれ、平成を通りすぎて令和に辿り着いたけど、結局学ぶのは、昭和の大人からなのだ。