「つけびの村」を読んだ

俺は犯罪関係の読み物が好きだ。実生活でも役立つから。普通の人と犯罪を犯す人とは同一線上にあり、本人の素質と環境で犯罪まで行ってしまう。世の中には本人の素質的にヤバイのもいれば、環境的に犯罪まで追いやられることもある。両方を知っておけば、もしそんな人に巻き込まれる状況や、環境になったとしても「これはヤバイ」と理解できる。「知っておく」と言うことは自分を客観視するのに必要なこと。

今回の本は以前、noteで話題になっていたのだけれど、俺はnoteのうさんくささが大嫌いで、課金は絶対しないぞと思っていたら書籍化が決まったと言うことで速攻予約してようやく入手。

よくある犯罪物の読み物とは違い、地域の文化や住人の細かい描写があり、何だかいつもと違うなと思っていたら敢えてそう書かなかったと言う記載があり、納得。

特に住人たちの描写が細かく書いており、閉鎖された村社会の雰囲気が良く伝わってくる。

俺も仕事柄、日本中の田舎を廻るのだけれど、田舎は人間関係が固定化していて、子供の時の無茶(他人を傷つけたり、人のモノを盗んだり)が大人になっても許されたり、法律に照らし合わせると犯罪行為であっても赤ちゃんの頃から知っている人たちばかりなので許容されたりする。

俺もある漁師町で飲んでた時に話したオッサンが知り合いと喧嘩して重傷を負わせたみたいなことを言ってたが、その地域の警察含めて不問にしてくれたみたいな話を聞いて、皆が皆を知っているだけに家族的な甘えで処理されてしまうのだろう。

大体田舎の人の人生(飲み屋でしか聞かないのでかなり偏っているとは思うが)は、若くして結婚、夫は農業とか漁師とか工場勤め、できちゃった婚で子供が生まれるも離婚、女性は良い稼ぎを求めて水商売へ。男性は昼間、仕事で稼いだお金で夜のお店へ。でもみんな顔見知りなので普通の人はあんまり無茶もできない、みたいな感じか。

なんせスナックに行ったら友達の姉妹とか同級生とかが出てくるらしくて、あんまり変なことするとすぐに噂になるらしい。

この「つけびの村」に出てくる犯人も、東京で暮らしている時は周りの人々の評判も良かったのに、濃密な人間関係の中で逃げ場所を失い、追い込まれてしまったのだろう。もちろん、周りの人が全て悪いのではなくて、本人の資質もあるだろうけど。

以前、上の記事でも似たようなことを書いたけれど、回りから少しずつ自分を追い詰める欠片をもらい、蓄積してしまったのだろうな。